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2019/03/29 18:32

15

「この件に関していえば委員会でもなんでも、仲間を作ろうというのは、仲間を選ぼうと言うことなんだという事例のひとつだよ。
やたらと友達を作りたがるやつは、友達を排除しているのが常なのさ」


 ぼくは、なんだか合点がいった。
この友人を排除しようと裏から画策するのは彼らだ。
彼のスタイルが昔気質で排他的な生活指導の目の敵なのだろう。
「それだけじゃない。少しばかりはきみのせいでもある」

「ぼくが?」

「知恵を貸すにしろ、勝手に借りられるにしろろくなことはない。
以前もきみがたよりにきただろ。その口だしを彼は見下されたと顔を真っ赤にして、未だに根にもってるんだ」

「あぁ……」


確かにそう言った思い出はぼくのなかにもまだ顕在していた。あの教員は、いかなる理由においても、女子、または年下、に先を越されるのが悔しくてならないらしい。
どうやら大昔に、チビで太っていたことを周りの女子からからかわれ、年下からも、仕事の出来でからかわれていたのも理由のひとつじゃないかと、いつだったかに別の教員が口にしていた。

「解決しようがしまいが、
『別の問題』が『蒸気機関車』になって突進してくるだけ。
この仕組みがわかっているから僕は、あまり関わりたくないんだがね……あのときもグチグチとずいぶんの間彼らは聞き苦しいことを言い出したものだ。ひいては、こっちの責任だ、と、発想を転換させてきたんだよ。だったらなぜ追及もしないで長い間無能を晒したのかと掘り下げられてたが」

そういう相手だとそのときのぼくはよく知りもしなかった。
しかし無自覚にしろ巻き込んだ一因は彼に関わろうとしたぼくにもあるということらしい。

「ぼくに、できることはするよ」
 この話題のおかげで気まずくなってしまったプリントをはたしてどうすべきか。
ちらりと彼の腕のなかを見る。

「遅いよ、もう時は動いている。それにきみだけじゃないからね。他のやつらよりはマシさ、僕の逆恨みを量産するだけでなにも挨拶はしないのだから」

 ひらひら、とその『紙』を振りながらの溜息。
輪の方から逃げていくというのは、手は出せないが顔は真っ赤だということなんだろうか。
特になにかせずとも、したとしても、彼はいつも独りだ。

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