スマートフォン版へ

マイページ

104件のひとこと日記があります。

<< メモ。... ひとこと日記一覧 メモ。 --- ... >>

2019/07/16 16:18

メモ。_____空。風。ヒバリの声。

メモ。
_____
空。風。ヒバリの声。緑溢れるヤクルト二軍の戸田球場。そこに通うようになったきっかけは、一軍選手がリハビリしていたから。でも、すぐに魅力にハマってしまった。至近距離の練習。プロの球。そして「人」に。

「OK! いい球だぁ!」

 一際大きな声がする。ブルペン捕手・小山田貴雄。戸田のムードメーカーで人気者。その存在感は圧倒的だ。190cm 95kg(公称)。一度宮出コーチと並んでいるのを見たが、あの宮出が華奢に見えた。「ガンダムみたい」とは友人の名言だが、白ユニに青赤の防具を着けた姿を見上げると頷ける。

 声もでかい。ブルペンではとびきりでかい声で投手を呼び、気合を入れる。ラップを歌って現れたり、物真似をしたり、変なあだ名で呼んだり、底抜けに明るいキャラが魅力の人だ。 二十数年前から戸田に行ってはいたが、練習まで見たのは昨年3月が初めてだった。戸田球場にはブルペンシートがあり、練習時も入れる。初めて、目の前で生の投球を見て衝撃を受けた。

 プロの球って本当に唸るんだ。ミットの音がバン! と響く。その音に文字通り震えた。そして夢中で何十球と見るうちに、気付いた。

ナイスボールだ!」「うーんもうちょい」。ブルペン捕手のミットの音、掛ける声を聞けば投手の調子がすぐ分かる。球数をカウントし、良い球悪い球をはっきりさせ、癖を指摘する、彼ら。申し訳ないが、それまでブルペン捕手といえば「壁」で、練習相手だと思っていた。現役の捕手に敵わない存在だと思っていた。

 いや、むしろ二軍の若手捕手には到底出来ないことをやっている。コーチの意思を受け、投手を導く重要な役割なのだ。

 以来、見方ががらりと変わった。生の球を見る。音を聞く。ブルペン捕手の言葉に感心する。笑う。戸田くらいそれが目の前で堪能できる所は他にない。試合の時も、次に誰が何回投げるのか、いつ肩を作るのか、ブルペンを通して見るのが楽しくなる。ブルペン捕手の目の前が定席になった。

二軍にブルペン捕手は3人いる。鮫島、新田は現役時代を知っていたが、育成で終わった小山田は、その現役時代を知らなかった。明るい性格は昔かららしい。彼らは守備練習の手伝いもすれば球拾いもし、打撃投手もする。投手陣の各塁送球を手伝えば、笑い無しに済まない。小山田がいればそこに目が行くので、戸田といえば彼の印象が強い。試合で座る席は小山田シートと勝手に命名した。

「昨日も来てましたよね?」

 彼が周りをよく見ているのにも驚く。通ううち声をかけてくれるようになった。そんなスタッフはそういない。あの笑顔が自分に向けられるのだから嬉しい。選手たちのこともよく見ているし、選手たちにしたらいい兄貴分だろう。彼のいる練習は活気があって楽しい。いない時は火が消えたよう。戸田が普通の練習場になってしまうから不思議だ。

 昨年投手陣崩壊と言われた時、SNSで「小山田を一軍に上げろ」という人がいた。何とも斬新な意見だと思ったが、そう思われる程、投手陣を盛り上げているのは確かだと思う。

 小山田シートに座って1年以上。その間、色々な光景を見た。彼とは同期入団の由規。ブルペンから試合へ、苦しみながら壁を乗り越え、神宮へ復帰を果たした。褒められて笑顔を見せた八木は、程なくトレードで旅立った。代わってやってきた近藤を、小山田はいきなり「カズキ」と呼んでいたから、ああ心配は要らないなと思った。

お気に入り一括登録
  • ヒバリ
  • ヤクルト
  • ムードメーカー
  • ガンダム
  • ナイスボール
  • カズキ

いいね! ファイト!

  • せーふーさん

    あつさん、こんにちは。
    この戸田球場の小山田ブルペン捕手の記事を読ませて貰いました。

    書き込んでいいのか躊躇いながら、失礼を顧みずの態度をお許しください。

    近藤一樹投手の一件の描写に気持ちが癒されます。

    また、プロ野球の知らない雰囲気を醸し出している興味深いところに私も、魅力を感じました。

    2019/08/12 12:36 ブロック