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44件のひとこと日記があります。

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2019/05/02 16:41

タマモハイウェイ号の蹄鉄 〜Aさん一周忌に〜

今日は、沢山の引退馬達の救済に心血を注ぎ、
60代後半で旅立たれたAさんの命日です。

彼女の遺品の中に「タマモハイウェイ」の名が記され、
綺麗にラッピングされた蹄鉄がありました。

タマモハイウェイ号が嬬恋ホースパークで乗用馬をしていた時、
「少しでも馬達の為になれば…」と購入されたものなのでしょう。
Aさんの一周忌迄には「故郷に帰してあげたい」と思っていましたが、
先日、大切に保管して下さっていた友人の手により、果たす事が出来ました。

Aさんのお父様は、戦時中軍馬の世話をされていたそうで、
病気になり戦地から帰還となった為、彼女を世に送り出してくれました。
それはきっと…お父様が慈しみ大切に扱ってくれた事への
馬達からの恩返しだったのかも知れません。

戦場から唯一頭、故郷へ帰る事が出来た軍馬「勝山号」は、
水沢駅で貨車から降ろされ「懐かしの我が家」に近くなった時、
手綱を放してやると…夕暮れの道を迷わず、丸8年の空白は何でもなく
追いつけない程の早足となり、二声嬉しそうに嘶いたそうです。
そして…家族総出で提灯を掲げて待つ人達の前で涙を零したとの事です。

故郷に帰ってから1年8ヶ月後、戦地で三度目に負った傷が原因で、
自宅の馬房の藁の上で永眠、14才での旅立ちでした。
その最期を看取った獣医は、直立して「挙手の礼」で見送ったそうです。

解剖の結果、被弾した頸部から3、4センチの砲弾の破片が出てきて、
これにより主要な神経を切断し、その痛みはずっと続いていたようです。

軍馬「勝山号」のこの話は…
戦争の犠牲となり、悲しい末路を辿った何十万頭の馬達を想う時、
ほんの少し救われた気持ちにさせてくれます。…と同時に
馬達の故郷を恋しく思う心の強さに、涙が溢れて仕方ありません。

Aさんとこの「勝山号」の話をした事もあり…
タマモハイウェイ号の蹄鉄の存在を知った時、
嬬恋から別の乗馬クラブに移り、その先の行方が分からない彼の
「生きてきた証」を故郷に帰してあげたいと思い続けていました。

この願いを生産牧場さんに伝え、快諾して頂いただけでも嬉しかったのに、
お送りした蹄鉄を、彼の5代母ワカクサ号の墓前に供して頂いたとの事で、
感謝と感動で胸がいっぱいになりました。

Aさんから教わった事、見習いたい事はまだまだ沢山あります。
その足元にも及ばず、非力ではありますが、
ほんの僅かずつでも彼女の遺志を継いで行けたら…と思っています。

写真は、「勝山号」と 5代墓前のタマモハイウェイ号の蹄鉄です。

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  • タマモハイウェイ
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  • 緑野さん

    今から俺は!さん、いいね! 有難うございます。

    2021/05/26 18:42 ブロック

  • 今から俺は!さんがいいね!と言っています。

    2021/05/15 23:44 ブロック

  • 緑野さん

    ポコリンさん、いいね!有難うございます。

    2020/01/16 11:24 ブロック

  • ポコリンさんがいいね!と言っています。

    2020/01/15 22:12 ブロック

  • 緑野さん

    サウンドTRACkさん、いいね!有難うございます。

    2019/12/03 11:36 ブロック

  • サウンドTRACKさんがいいね!と言っています。

    2019/12/02 20:30 ブロック

  • 緑野さん

    ファラベラさん、いいね!とコメント有難うございます。
    「勝山号」は自宅裏に埋葬され、昭和54年岩手県軽米町の久慈平神社に「勝山号記念碑」が建立され、平成7年に分骨されて記念碑の下に納骨されているとの事です。

    2019/12/02 19:55 ブロック

  • ファラベラさん

    涙が止まりません。

    2019/12/02 18:34 ブロック

  • ファラベラさんがいいね!と言っています。

    2019/12/02 18:33 ブロック

  • 緑野さん

    モスコミュールさん、いいね!有難うございます。

    2019/07/16 19:42 ブロック

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