女傑と怪物

出会ったのは、1994年12月末の冬。

それまでの私は、海外からの持ち込み馬だったから、クラシックには出られずに、マイナーなレース場を駆け巡っていた。

重賞６連勝を抱えて、この大レースへと挑み、あなたに出会った。

あなたは強かった。どんなに、どんなに疾駆（しっく）しても、あなたは離れていった。

私が勝てなかった男・・・。

三冠制覇を成し遂げたにもかかわらず、唯一、後継者を遺すことができなかった男。

あなたがいなくなってから、三冠を取った子達がいた。

そのこ達も跡継ぎを残せている・・・。

長い歴史の中で、貴方を含め、日本には７頭しかいない三冠馬・・・。

あなただけが・・・。

２０年以上の月日が流れても

いまだに、もっとも強かったと言われることもある、あなただけが・・・。

それもそのはず、あなたは７歳でこの世を駆けて、逝ってしまったのだから。

人で言えば、３０代にも満たない年で、あなたは逝ってしまったのだから・・・。

そんなわたしは、もう２６歳になる・・・。

今でも私は、あなたの背中を追いかけています。