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2019/06/24 17:05
ブレイブスマッシュとシングンマイケル
この2頭の重賞勝ち馬はいずれも父がマイナー種牡馬であり、所有する
オーナーの自家生産馬である。ブレイブスマッシュの父トーセンファントムは
中央2勝、シングンマイケルの父シングンオペラに至っては地方で僅かに
1勝を挙げたのみである。どちらも故障により引退を余儀なくされ、通常で
あれば種牡馬には到底なれなかったであろう。
また、ブレイブスマッシュの母トーセンスマッシュと、シングンマイケルの
母ジェヴォーナは中央で1勝止まりだった。
ブレイブスマッシュについてはこれまでに何度も語ってきたので、多くは
費やさない。両親の実績自体は輝かしいものではないが、トーセンファントムは
セレクトセールで購入されたサンデーサイレンスの孫であり、トーセン
スマッシュの牝系はスカーレット一族に属する。血統としては悪くない。
これに対してシングンマイケルは字面的にいかにも地味だ。オーナーの所有
牝馬タケノハナミにオペラハウスをつけて生まれたのが父シングンオペラ。
そして、繁殖牝馬として購入したのが母ジェヴォーナである。
普通はこの2頭から可能性を見出せないであろうが、シングンオペラの輸入
基礎牝馬コランディア(3代母)の末裔にはエリザベス女王杯を制したリトル
アマポーラがおり、ジェヴォーナの輸入基礎牝馬デュカイナ(2代母)の孫には
桜花賞馬チアズグレイスがいる。
こうした奥深いところ、換言すれば確率の低い可能性を求めるのは、強い
意志と気の遠くなるような忍耐が必要だ。生産界を牛耳る巨大牧場には思想的に
無理であるし、個人の零細牧場では資金的に困難と思える。
結局のところ、個人オーナーの思い入れ無くしてはこの2頭のようなケースは
生まれないだろう。それを「ロマン」という情緒的な一言で片付けることは
出来ない。