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2017/05/09 15:57
トニービンとは何者か
凱旋門賞馬に今更「何者?」と問うのも失礼な話だ。種牡馬時代には、サンデー
サイレンス、ブライアンズタイムと共に三大種牡馬とも言われた。そのトニービンが
出走したジャパンカップのビデオを見直すと、実況で繰り返し「トニービーン!」と
呼ばれていて笑えた。「僕はbeanじゃなくて、binだよ。」と言いたかったであろう。
そのトニービンの産駒としてはエアグルーヴとジャングルポケットが双璧か。
両馬に関しては改めて説明も不要と思われるので、ここで少し脇道に逸れたい。
(脇道その1)
産駒にはエアダブリンという中長距離で活躍した馬がいた。ダンス一族の一員だが、
テイオーファンにはラストクロップの母父として知られている。
(脇道その2)
ケントオーの掲示板に時々名前が出てくるケントニーオーもトニービン産駒。
ただし、こちらはケントで区切らない。トニービンの仔だから(ケン)トニーオー。
さて、本道に戻ろう。トニービン産駒で絶対に忘れてならないのがアイリッシュ
ダンスだ。言うまでも無く、ハーツクライの母である。
トニービンは母の父としても成功を収めている。ルーラーシップらビッグネームが
顔を揃えるが、ハーツクライは個人的に別格だと思っている。賞金額で比べれば
もっと上がいるのだが、トニービンの特徴を最も良く伝えているのがハーツクライと
思うからだ。直仔よりもむしろトニービンらしいのではないかとさえ思わせる。
自身だけでなく、その産駒にも個性を伝承させている。今やハーツクライ産駒の
代名詞となった「晩成」「成長力」はトニービンから伝わったと思われるし、「長い
脚を使う」「器用さに欠ける」などはかつてトニービンに対して用いられた評価だ。
生産者からすると、良い種牡馬とは間違いなく強い産駒を出す種牡馬だろう。
しかし、一般の競馬ファンからすると豊かな個性を伝える種牡馬も、競馬を楽しむ
という点では良い種牡馬と思う。そう、トニービンとは何者か? 競馬を面白くして
くれている個性派の名種牡馬である。