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2015/09/06 10:27

ルドルフの好敵手(3):Mr.CB、敗れてもなお衰えぬ人気

 栄えある三冠馬の中で、ミスターシービーほど後世の評価が
低い馬は無いだろう。その一番の原因は、1年後輩の三冠馬
シンボリルドルフに歯が立たなかったことだ。
 クラシック戦線で全く相手にしなかったカツラギエースや、その
クラシックに参戦すら出来なかったギャロップダイナが、のちに
シンボリルドルフにひと泡吹かせている。
 それに対してミスターシービーは同じ三冠馬である。勝てないまでも
冷や汗をかかせるくらいのことは出来なかったのか。

 いくつか理由はあるだろう。まず、蹄の問題等で前年のような
好状態ではなかったこと。最後方からの競馬では、好位抜け出しで
鉄壁のレース運びをするルドルフをとらえるのは困難だったこと。
 しかし、結果ほど両馬の能力に差があったのだろうか。多くの評論家が
それには否定的であり、ダービー・菊花賞当時の状態を前提とした仮定では
あるが、騎乗を工夫すれば互角に戦えたのではないかと回顧している。

 実はシービーの騎乗については、当時も今も評価が分かれている。
シービーの主戦騎手吉永は、前か後ろかの極端な戦法を好んでいた。
後方待機一辺倒は出遅れ癖のあるシービーとしてはやむを得なかったのか、
それとも吉永のスタイルに馬を合わせてしまったのか、判断が難しい。
 良く知られた話だが、武豊がMCを務める競馬番組の中で、過去の名馬で
乗ってみたい馬をミスターシービーだと言い、「あの乗り方しかなかったん
ですかねえ?」と、自分なら違う騎乗をするだろうと暗示したことがあった。
私もその放送は実際に見ており、強く印象に残っている。

 また、シービーの特性についても見解は定まっていない。本質的には
プリンターだと言う人も、マイラーだと言う人もいる。その一方で
少数派だが、母父トピオの影響でステイヤー気質だと言う人もいる。

 ともあれ、レースではルドルフに3戦3敗。だが、負けても負けても
シービーはルドルフを上回る人気者だった。毎度のように出遅れたり、
豪脚一気の大捲りで沸かせたり、その競馬は「破天荒」と形容された。
 ん、今も似たような人気者がいないか? 枠にはまらない個性派は、
いつの世でも人気を集めるようだ。

 一方、勝者であるはずのルドルフは、その盤石過ぎる勝ち方故に
「面白味がない。」「優等生過ぎて可愛くない。」とアンチが
少なくなかった。勿論、三冠馬にふさわしいだけの人気は獲得して
いたものの、レースとは逆に、人気の面では常にシービーの後塵を
拝していた感は否めない。
 「勝つだけでは人は喜んでくれないのか。」そう悟ったルドルフは、
のちに稀代のスターホースを自身の後継者として世に送り出すことになる。

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