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351件のひとこと日記があります。

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2015/06/25 09:47

幸せのかたち

わたくし事ですが、この数日、歯が痛み、腫れてしまい、片側にゆがんだ顔で過ごしていました。
どうにか痛みも治まって、顔も正常形(?)に戻りつつあります。
歯医者に行く為休暇を貰い、膨れ上がった顔でボ〜っとしていた時、久々に、本箱の片隅で埃をかぶっていた文庫本を取りだしてみました。

今から18年前に書かれた本でした。(馬関係の本だけはしっかり取ってあるのです)

その中の1頭の馬、思いだしました。
現実には競走馬にはなれなかったのですが、別の事で話題になり、子供用の本になったりしたお馬でした。

ミホアルダン
1977年3月、父ヴェンチア母サンワチグサの間に生れた牝馬です。
ハギノトップレディラフォンティースと同期馬です。
順調にいけば一緒に走れたかもしれません。
ところがデビュー戦も間近に迫った頃、アルダンの両目が見えていない事が発覚したのです。
何が原因なのかはわかりませんが、とにかく、アルダンは盲目になってしまったのでした。
ヴェンチアの血を引く彼女は、買い戻し条件付きで売られていたので、そのまま牧場に戻ってきました。
一瞬驚いた牧場オーナーご夫妻でしたが、とにかく繁殖として残そうと決心したそうです。

目が見えない事で起きる様々な問題を何とかクリアし、4歳( 旧年齢です )の7月、種付けシーズンギリギリでアルダンは受胎したのでした。
翌年7月、アルダンは、父キングオブダービーの鹿毛の牡馬を出産しました。
ミホタイガーと名付けられたこの牡馬は、北海道競馬で走りに走ってオープン馬まで行ったのですが、故障により予後不良となってしまいました。

そのタイガーを育てていた時の事が話題になったのです。
全盲のアルダンには、仔っこが自分の側にいるときは問題ないのですが、他の仔馬と遊んでいて遠くに行ってしまうと、自分の仔がどこにいるのかわからなくなってパニックになってしまうのです。
そこで場長さんたちが考えて、仔馬の首に鈴をつけたのでした。
するとアルダンは、その音で仔馬の居場所を確認し、安心したというのです。
その、鈴の音を聞く為に首を少しかしげ、仔を探す姿が話題になったのでした。

ミホアルダンは、競走馬として生まれ、調教も積みながら、晴れ舞台に立つ事は出来ませんでした。
同時期に産まれたハギノトップレディが「 華麗なる一族 」として脚光を浴びていた時、仔馬を探して、ひたすら鈴の音に耳を傾けていました。
でも私には、アルダンは別の形の大きな幸せを掴んだお馬だと思えるのです。

全盲というハンデは、人間でも厳しいものですが、お馬の世界では命を繋ぐ事すら難しい条件です。
それが、周りの人たちの大きな愛情に包まれて、母になり、子育てし、天寿を全うできた。

神様は、アルダンに厳しい試練を与えましたが、代わりに、人との絆という贈りものをくれた、そんな気がするのです。

もしかしたら天国で、今でも首を少しかしげて、鈴の音を探すアルダンがいるかもしれません。

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  • 馬の気持ちさん

    アルダンを引き取って ずーっとお世話された生産牧場の方は ホントにいい方ですね〜。 エドリンさん、歯はもう治りました?

    2015/06/25 09:56 ブロック

  • Affirmedさんがいいね!と言っています。

    2015/06/25 09:55 ブロック

  • 馬の気持ちさんがいいね!と言っています。

    2015/06/25 09:53 ブロック

  • アイバイノチさんがいいね!と言っています。

    2015/06/25 09:50 ブロック

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