マイネルスティングとの出会い　　��

マイネルスティングの会が出来てから、スティングはセン馬になり、預託先も変わって、心機一転の馬生が始まりました。
新しい住まいは、千葉にいるフォスターホース、ハリマブライトの産まれた坂本牧場さんです。
お引っ越しのドタバタが落ち着いた頃、スティング会のミニツアーが行われました。
発起人さんや関西からの会員さんなど計５名で、スティング君の新居訪問です。
行きの車の中で、福島から移動してきてからずっとスティングを見てきた発起人さんが　「　あの日のスティングは馬が変わったみたいだった。　いつもは、ただぼ〜っと牝馬を見ているだけで、呼んでも来たり来なかったり、あまり愛想の良い馬じゃなかったんですよね。　だから今でもあのパフォーマンスが不思議で・・・」　と言った言葉に答えるように１人の会員さんが言いました。
「　スティングは感じていたのかも知れませんね。　自分が今置かれている立場を。　だから必死だったのかも・・・・・・」
その答えにみんな納得したのでした。

牧場長さんが「大丈夫ですよ」と云うので、みんなでスティングの放牧地に入りました。
草を食むスティングを真ん中に、ちょうど円をかくように６人がぐるりとスティングを囲んで話していました。
ふと、スティングが顔をあげて動きました。
何をするのかな？と見ていると、１人の会員さんの所に頭を下げて歩いていき、その人の腰のあたりに顔をすりつけたのです。
「　？？？？？　」　その当人も、他の人たちも訳が分からず、じっと彼の動きを見つめていました。
すこしすると、今度は隣に立っている会員さんの所へ行き、今と同じ様に顔をすり付けました。
そうやって一回り、牧場長さんを除いた会員さん達みんなに、計ったように同じ間隔で顔をスリスリしたのです。
回り終わるとまた元の位置に戻り、何事もなかったかのように草を食み始めました。

「　何？今のは何？」
全員、不思議なものでも見たかのように茫然としていました。
「　もしかしたら、あれってスティングのありがとうじゃない？　」
「　そうよね、スティングが１人１人にお礼を言ったのよね　」
みんな同じ思いだったようで、口々に同じ事を言いだしました。
牧場長さんも、「　長年、馬やってきてますが、あんな行動は初めて見ました　」と、呆気にとられていました。

その事で、ますますスティングという馬が愛おしく、いじらしく思ったのは私１人ではないと思います。

帰りの車の中で、スティングのあの行動についてワイワイ盛り上がったのでした。

今でも、その時そこにいた人たちの心に、あのシーンが強く焼き付いていると思います。

画像は、会員さんとお散歩するスティングです。