模擬試験レースの前日

「先生　スタートと、折り合いが
上手にできないんです」
18歳女性騎手の藤田菜々子は、
競馬学校騎手課程の卒業模擬レース前に
所属先となる、根元調教師に悩みを打ち明けた
「大丈夫だよ、菜々子ちゃん　
そんなこともあろうかと、特別練習メニューを持ってきたから、馬場のほうに行こうか！」
騎手時代　乗り馬に恵まれなかった
根元師は、恩師のお陰で騎乗を許され
手にした、G1 タイトルの恩を若手に伝えるべく、新人にとても優しい
「先生！」菜々子ちゃんに笑みが戻った
「そぅそぅ　菜々子ちゃんは笑顔が
メリーナイス！」
「先生、、、」
根元師は、恩師よりダジャレも引き継いだようだ

「スタートっていうのは、駐立が大事だよ、菜々子がリラックスして、馬に伝わるように、先ず馬になめられない事が
大事なんだよ、さぁ、股がってごらん」
「いや、あの、先生、この馬　
めっちゃ舐めてます！というか
私の顔　べちゃべちゃなんですけど」
根元師が気付くと、ナナコちゃんは
芦毛馬に顔じゅう舐め回されていた
「まぁ、そんなに嫌がるなや、ネーチャン」芦毛君が語りかける
「おれもなぁ、根性ありそうな惚れとる相手おるんやけどなぁ、その娘のジャパンCで惚れてもてなぁ
宝塚記念でアタックしたら、引きよんねん、また、ジャパンCでは先いきよるし
フランスデートに誘ったら　ドバイいきよるし、
引退したから、口説こう思ってたら
違う街におるらしくてな、おいちゃん
寂しいのよ
どや、ナナコちゃん　おいちゃんとデートしてくれへんか？」
バシッ！！
「菜々子ちゃん、鞭は馬の顔にいれるもんじゃないよ」
かくして、根元師の指導により
菜々子ちゃんの、駐立から無理のない
早いスタートは生まれた(嘘)

菜々子は馬場でキャンターに移っていた
「もぉ、どうして？男ってあーなのかしら？？」　
すると、その栗毛馬が答てくれた
「まぁ、僕達はそれが強さの証だからね」
「えー！栗毛さんも、エッチなの？
やだなぁ！」
「まぁ、そう言わないでくださいよ
僕の母は一途で、あの！ディープさんを三度も拒んで、ヤンチャな父を選らんでくれたんだ。因みに僕は次男坊なんだけどね」
向こう正面を長手綱で折り合い
美しく流れて行く
「へぇ、栗毛さんも一途なのかなぁ？」
「うん、僕もね、、僕もね、、
　トレヴゥ！！」
栗毛さんは、いきなりかかり
コーナーに目もくれず直進する
池添騎手も「ブエナー」という叫び声を聞いたのかもしれない

なんとかコースに復帰した菜々子ちゃん
「まぁ、純情な所があって安心したわ
そっか、トレヴゥさんがいいのね？」
「え？そんな事いってませんよ
だって、ジャパンCでコクってきた娘もいるし、悪いじゃん！」
「いや、言いましたよぉ」
「いいやぁ、いってません！」
栗毛は、いきなり菜々子ちゃんを振り落として走り去った
「大丈夫かぁーい　菜々子ちゃーん」
心配そうに、根元師が駆け寄る
「いたぁーい、騎手デビューできなく
なるところだったぁ」
「大丈夫だよ、その時の事も考えてる
菜々子ちゃんは可愛いから、映画デビューすればいいんだよ、僕みたいにね」
「え？先生は映画デビューもしてるんですか？」
「あれ？知らなかった？オラシオンって映画にでたんだよ」
「アッと驚く　ギャロップダイナ！！」
「え、菜々子ちゃんがオチ？？」
「はい、先生　さっき落馬の後だけに」

お後がよろしいようで