仕事が早い蕎麦屋

小腹が減った３時過ぎ、駅の改札を出ると蕎麦つゆの香りに釣られ立ち食い蕎麦屋に入った。７〜８人で満員になる程の広さの店に客は自分一人。

「今日はワカメうどんにしよう」

食券のボタンを押すと、それを見た店のおばちゃんは早くも麺を茹で始める。

「流石だな〜。客の多い朝にはこんな感じで店を切り盛りしてんだろうな・・・」

と感心しつつ

「ワカメうどんね。」

とカウンターに食券を置いた瞬間・・・
おばちゃんの手がピタリと止まった。

「？？？」

ななんとおばちゃんが茹でいたのは蕎麦だったのだ！

即座に食券を見ると「ワカメそば」になっているではないか!
振り返って見てみると・・・この蕎麦屋の券売機は２機並んで配置され、入り口側の左がそば、右がうどんの券売機だったのだ(￣○￣;)

しかしおばちゃんは無言でうどんを既に茹でてくれていた。

「悪いことしたな〜（汗）」

と・・・うどんを食べていると、更に客が来て食券を購入。
すかさずおばちゃんは麺を茹で始める。

客「おばちゃん、タヌキうどんね！」


・・・またもやおばちゃんの手がピタリと止まった。


まさか・・・


次の客も同じ過ちを犯してしまっていた。

おばちゃんは「ハァァァッ」と深いため息をつき、ダウナーな空気に包まれた店を私はそそくさと後にしたのだった。


おばちゃん、申し訳なかったけど、先走り過ぎてる気がするのは・・・私だけなのだろうか!？