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2024/06/01 01:51

染み渡る和み感

ある日には、
年配の紳士が
「お隣、いいですか?」と言って
ベンチの相席を願うべく
声をかけてくれた。

私は、「どうぞ」と言って笑顔を向ける。

こうゆう出逢い方が、本当に好き。

名前も名乗らず
どこの誰とも知らないお互いなのに
横に腰掛けるやいなや
打ち解け合って
親しい間柄みたいな会話が始まる。

この公園のある一帯は
その昔には、一面が田んぼだったそうで
お米を作っていた農家さんもいたとか。

畑で作物を育てる人もいたり、
そればかりか
ここいらは、道らしい道が無くて
獣道(けものみち)だったんだよ、と
古くから
この町に住んでいるとゆう その方は
当時の景色を
ご自分の脳裏に映しながら
私に話して聞かせてくれた。

この公園を残すのには
ずいぶん反対した住民もいたんだけれど
当時のお役人の方が
将来、きっと、
ここが区民の憩いの場になる、と言って
断固、残すことに尽力したのだそうな。

「その判断は、間違ってなかったね」

年配の紳士は、
広い原っぱを見渡しながら
人や、犬たちが
のんびり憩う風景に頬笑みを浮かべて
そう言った。

「こんな広い場所は今どき貴重だよね」

確かに。

公園の周りは、民家が密集している。
商店街もある。
自動車の行き来もある。

そんな生活空間の中で
ここだけが、ただ広いだけの原っぱ。

周りをぐるりと桜の木が囲んでいて
四方に数ヶ所ベンチがあるだけの
ただの草っぱら。

年配の紳士ほどには
ここでの暮らし歴に浅い私は
ひたすら聞き役になって
それでも、興味津々に相槌を打って
一生懸命に、お話しを聞いた。

ひとしきりの時間が来ると
年配の紳士は
「ありがとうございました」と言って
ベンチを立った。

「ありがとうございました」
「お気をつけて」

私も、そうご挨拶をした。

この感じが、すごく好きだと思った。

どこの誰とも知らないお互いが
その人に
「ありがとうございました」と言って
感謝の気持ちを伝え合う。

心に染み渡る
あたたかい気持ちの和み感が
なんとも言えず心地よく思えて。

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